ひとり旅の達人 > ひとり旅にはテーマが要る > わたしのひとり旅のテーマ1

わたしのひとり旅のテーマ1

■■古代にも商社が存在した
● 総合商社という業態

わたしは長年、総合商社に勤めていました。商社では主に、貿易取引に従事していました。総合商社は、外国との取引の他に、もちろん国内取引があり、さらには投資や金融、物流、コンサルティングなど、様々機能を持っています。

総合商社のような業態は、韓国を除き、世界には見られません。従来は仲介取引を事業の柱としてきましたが、今では投資を柱に様々な機能を加えながら、経営の改革を推進中です。

現在の総合商社はもちろん近代以降に生まれたものですが、中世や近世にも、堺や博多、そして江戸、大阪の豪商など、総合商社の原型的なものがありました。
「そして総合商社は、遥かなる古代から存在した」
それがわたしの仮説、「古代商社論」です。

わたしのひとり旅テーマは、「古代商社論」を肉付けることです。

● 誰が古代の物産を運んだのか?

鉄が利用される以前、黒曜石が刃物として利用されていました。黒曜石の産地から遠く離れた場所で、その加工品などが出土しています。国内産の黒曜石が、朝鮮半島や、シベリア沿海州などからも見つかっています。一体誰が運んだのでしょうか?

沖縄近海の遥か南の海で採れるゴホウラなどの貝類が、腕輪に加工されて、近畿、大和などの遺跡から出土しています。薩摩半島の南端近くの遺跡からは、半加工の貝輪も見つかり、この付近に南海産の貝を加工する施設があったことを窺わせます。誰が、これらの交易や製造に関わったのでしょうか。

他にも、翡翠、青銅器、鉄器などの考古学的発見が、古代にも海を越えた活発なビジネスがあったことを物語っています。中には、現代のビジネスと重なるような、複合的なビジネス形態さえも類推できます。現在の考古学では、これらの交易についての研究は少なく、考古学界の関心もそれほど高いようには見えません。

総合商社に長く務めたわたしには、古代から商社機能を持った集団がいたと思えてなりません。ある時は交易に従事し、あるときは漁撈に従事する。あるときは物流を司り、必要に応じては製品の加工にも携わる。そして緊急時には水軍となり戦闘に赴く。

多彩な活動から得られた内外の情報は圧倒的に豊富で、それらを武器に時の権力を動かす。現代の総合商社を遙かに凌ぐ機能と社会的影響力を持つ、古代商社があったのではないか。わたしはそう考えています。

■■古代商社はどんな集団?
・主なものに下記があります。
● 安曇商事

古代海洋民族として、安曇(あるいは阿曇:以下安曇)氏の名はよく知られています。元は、中国江南地方の漁民だったという説が有力です。福岡近郊の志賀島を拠点に、活動した人たちです。安曇氏は典型的な古代商社とわたしは見ており、安曇商事などと勝手に名づけました。

安曇族はその後全国に広がったようで、各地に関連性を匂わせる地名を残しています。一族が信奉した海神(ワタツミ)を祭る神社が、西日本を中心に分布します。より全国的に分布する住吉神社との関係も深いようです。

安曇族は日本書紀にもしばしば登場し、大和朝廷の中枢を担いました。その後政権内の権力闘争に敗れ、中央からは姿を消しました。

● 宗像物産

安曇商事のライバルとして、やはり勝手に名前をつけました。こちらも江南系あるいはより南方系の海洋民族集団です。福岡の東方にある宗像神社を奉じ、その近くの鐘崎を漁撈や交易の拠点としたようです。

玄界灘の孤島、沖ノ島には宗像神社奥の院があり、朝鮮半島に渡る航海安全を祈る神となったことから大和朝廷の権力に接近したようです。

安曇族以上に、その後拠点を全国に広げました。
宗像族の信奉する宗像神社は、全国に分布しています。世界遺産となった厳島神社も、元は宗像神社から派生しています。

大和朝廷では、安曇族以上に高い地位を得て、中世まで大名として生き残りました。

● 隼人産業

隼人族は南九州に勢力を張り、大和朝廷に制圧された人々として知られています。元は、はるかインドネシアあたりまで繋がる、海洋民族の一派と見られます。

薩摩半島の南部を拠点にした阿多隼人が、古代商社活動の中心だったと、わたしは見ています。彼らは、八重山、沖縄、南西諸島の物産と、大和、北九州、出雲などの市場を結びつける機能を果たし、ビジネスを展開したのではないかと思います。
安曇商事や宗像物産とのコラボも、大いに考えられると思います。

その後瀬戸内海方面に進出し、大阪や芸予諸島に拠点を作りました。大山祇の神を信奉し、三島神社の名前で各地に祭られています。

中世以降瀬戸内海を荒らしまわった海賊たちの主流は、阿多隼人族の末裔ではないかと、わたしは思っています。

■■古代商社の足跡を訪ねる旅

古代に興味ない人には、もしかしたら退屈な話だったかもしれません。ここでは、旅のテーマを常識にとらわれず自分で自由に発想してみると、俄然ひとり旅がおもしろくなってくる、ということが伝わればいいなと思っています。

わたしが中高年になって始めたひとり旅。それは上に書いたような古代商社活動の痕跡を探す旅です。主に西日本各地の、海岸線を辿ります。旅程は通常2泊3日。離島を含め、行きたいところはまだたくさんあります。韓国西海岸、済州島、中国舟山群島などにも、将来足を延ばしたいと思っています。

わたしは考古学者でも、歴史学者でもありません。古代商社の存在をいつか証明できるとも思っていません。それでも、このテーマでの旅を重ねるごとに、古代商社の輪郭が徐々に浮かび上がってくるような気がしています。

いつか旅を総括して、「古代商社論」という本を書くつもりです。

最新ニュース
  • Yahoo!ニュース…最新の話題、ニュース速報
  • Yahoo!ショッピング…買い物、オークションのネットマーケット
  • Yahoo!…日本最大のポータルサイト
  • Life style
    Copyright(c)Life style.All Rights